by 株式会社 味の兵四郎
こんにちは。ライターの羽鳥と申します。
ズボラではありますが、料理を作るのも食べるのも大好きです。
私は個人的には和食屋さんや料亭で出てくるような上品な薄味の料理が好みなのですが、薄味でも美味しい料理を作る為にポイントとなる「だし」を上手に取れないせいで、自分で作った料理はいつもなんだかぼやっとしたただの味が薄い料理になりがちです。
だし取り上手な友人たちに味噌汁のだし取り方法を聞いてみると、
「おいしい煮干しなら3匹水に浸して冷蔵庫に寝かせるだけでよい」
「かつお節だけで充分」
「羅臼昆布を水から煮出しているだけ」
など人により様々。
「椎茸が入ると一本芯が通るよ!」
などアドバイスももらいます。
いろいろとアドバイスをもらうなか、特にだしにこだわりをもつ友人から「最近はあごだしでよくだしを取っているよ」と聞いたので、ネット検索してみました。
すると、ズボラな私でも簡単に使えるティーバッグになったあごだしをネットで見つけたので、早速それを使ってみることに。
ティーバッグなので、2~3分沸騰させるだけで簡単にだしを取ることができました。
あとはいつも使っている味噌を入れるだけで、あっという間に味噌汁が完成です。
このだしパックの中にこそ、だし使いの回答と私に足りない料理のパンチづくりのヒントがありそうです。
友人に勧められて今回使ってみたあごだしですが、いつもの味噌で作ったお味噌汁がいつもより断然美味しくなったことから「あごだし」って一体なんだろうと気になったので、購入した福岡のあごだしパックのメーカーさんにお話しを聞きに行ってきました。
あごだしについて教えて下さる味の兵四郎の横手さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
では早速なのですが、そもそもあごだしとは何のだしなのですか。
あごだしとは飛び魚でとっただしのことです。あごが落ちるほどおいしいとのことから、あごだしと呼ばれるようになったと言われています。
名前の由来が面白いですね! でも飛び魚ってクセやえぐみがある印象だったので、こんなにも旨みとコクがあるとは思ってもいませんでした。
飛び魚から作るあごだしは確かに特有のクセがあるので、長崎や福岡の一部地域でしかなじみのない素材でした。ただ羽鳥さんのおっしゃる通り、あご(飛び魚)には大変おいしい旨みとコクが備わっているんですよ
それは具体的にどういうことなのでしょうか。
あご(飛び魚)にはグルタミン酸とイノシン酸の両方の旨み成分が備わっており、その旨み成分によって料理がさらにおいしく感じるのです。2種の旨み成分を含む素材はほとんどなく、あご(飛び魚)に備わる旨みをいかに引き出すかが、おいしさの理由といえます。
そうなんですね。そんなあごの旨味を最大限に引き出すにはズバリいうとどんなところがポイントとなるのでしょうか?
言葉でお伝えするよりも、実際にどうやって飛び魚からあごだしを作っているのか見ていただいた方がわかりやすいと思いますので、実際に見に行ってみませんか
えっ見に行けるんですか?
もちろんです!それではあご漁を行っている長崎県の平戸に行きましょう!
やったー!ぜひお願いします。
福岡から車で約2時間の場所に位置する長崎県の平戸市にやってきました。
今、ちょうど漁船があご漁から戻って来たところですね。羽鳥さんが来ていただいた時期がベストタイミングだったので、漁師さんが採って来て下さったあごがあごだしになるまでの工程をご覧いただくことが出来るのでよかったです。
え、だしって通年売ってあるイメージですが、時期によっては作っていないんですか?
味のブレを防ぐため秋のお彼岸前後に平戸沖で採れたあごだけを使ってあごだしを作っているんですよ。
そんな限られた時期にしか採れない飛び魚を使われているんですね
そうなんです。時期と場所を限定して採ったあごを使うことで安定したおいしさのあごだしを作ることができるんですよ。
場所と時期を限定することで、いつもあの味を出すことができてるんですね。
場所と時期はあごだしの味を安定させる為に重要なことなんですが、旨味を出す為のポイントはまた別にまだ3つあるんです。
そうなんですね。
羽鳥さん、これはだし素材になるあご(飛び魚)を選別しているところです。
割りと小ぶりなものが多い気がしますがなぜでしょうか。
これが旨みを引き出すポイントの一つ目です。
大きいあご(飛び魚)は脂身が多く、味にむらが出てしまいます。脂分は酸化しやすく、味のブレにもつながるため、脂身の少ない小ぶりで尾のきゅっと締まったあご(飛び魚)だけを使用しています。
※脂身が少ない小ぶりなあご(飛び魚)は身が白いまま焼き上がるので、えぐみも少なく上品な味となります。
その小ぶりなあご(飛び魚)を串に刺していますが、普通に網で焼いたりしないのですか。
串に刺して焼くことこそが旨味を引き出すためのポイント二つ目です。
先ほど選別した小ぶりなあご(飛び魚)を一尾ずつ串に刺して、炭火で腹側を焼き上げます。こうすることで網焼きと違い、背と腹に火を当てることができ、はらわたのえぐみを落として雑味が出るのを防ぎます。
それで御社のあごだしはえぐみがなかったのですね。
そうなんです。串に刺して焼くことが旨味を引き出すポイントでもありえぐみを出さないための重要なポイントでもあります。
そして、旨味を引き出すポイント三つ目は焼き終わったあごを天日干しをして旨味を凝縮させることです。
これこそが御社のあご(飛び魚)の旨みを引き出す方法なのですね!
そうです、収穫場所と時期、あご(飛び魚)の選別、焼き方、干し方までこだわることで、おいしい出汁のとれるあご入りだしパックが出来るのです。因みに日本であご入りだしパックをはじめて作ったのは味の兵四郎なんですよ。
えーすごいですね!あご入りだしパックを作ろうと思ったきっかけは何だったのですか。
弊社代表の野見山が、お客様の【毎日忙しくてもおいしい料理を家族にたべてもらいたい….】そんな願いを叶えるべく生み出したのがこのだしパックのあごだしだったのです。だしパックにすることで、2~3分で本格的なだしが取れ、時間がなくてもすぐにおいしい料理が仕上がります。
あご(飛び魚)だけでこんなにもおいしい出汁が取れるなんて、あご(飛び魚)の旨みはすごいですね!
それももちろんですが、だしパックを破って頂いたらわかるように、あご(飛び魚)だけでなく、昆布やかつお節、いりこなどの素材をブレンドしているので、旨みの相乗効果がしっかりしているのです。
だし素材をブレンドなんて贅沢ですね!
それに加え、だし素材を粗挽きにしているので素材の風味と旨みをより深く引き出すことが出来ています。
あご(飛び魚)に備わる本来の旨みをいかに引き出すかがどれほど大切なのか、実際に見学させて頂きながら知ることができました。
これからもあご入りだしを使って様々な料理にチャレンジしてみます!貴重なお話しをありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。羽鳥さんとお話が出来てとても楽しかったです。
横手さんのお話にもあった旨みに関して、実際に旨みやコクのバランスは化学的にも証明されているようです。
アミノ酸系の「グルタミン酸」と核酸系の「イノシン酸」、「グアニル酸」、この3つの成分が合わさると旨みとコクが最大限に活かされるそう。
昆布に椎茸を加えたり、昆布とかつお節もしくはいわし煮干しを合わせるのは、アミノ酸と核酸からなる組み合わせです。
それらだし素材をひとパックにブレンドしているので、多彩な料理に対応できる懐の深いだしとなっているのです。
しかも、だしパックの中に醤油や塩も加わっているので、ひとパックで味のゴールまで導いてくれる。ズボラな私でも簡単に料理上手になれた気がする強力な万能調味料なのです。
味噌汁や鍋などのだしとして使うだけではなく、チャーハン、トマトソース、シュウマイにも挑戦してみると、どれも輪郭が整った深みとコクがある味に仕上がります。
今までなかなか手を出さなかった煮こごりやジュレなど、だしの旨みを楽しむ料理も挑戦したくなりました。この旨みは美味しい味覚のバイブルにもなりそうです。料理の腕に自信がないけど美味しい物は大好きという人にこそ、お勧めです。